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銀行へ返済猶予を相談する前に揃える資料

2026.08.04

結論: 返済猶予で増える月次キャッシュと、改善効果の開始月を同じ表で示す

銀行へ返済猶予を相談する前に、最初に揃えるべきものは「お願いの理由」ではありません。13週間資金繰り表、6か月以上の月次資金繰り予測、金融機関別借入一覧、改善施策の月別効果です。

たとえば、毎月の元金返済が240万円、営業資金収支が80万円赤字、税金・社会保険料の通常支払不足が30万円ある会社なら、通常返済を続けると毎月350万円の現金が減ります。

元金返済240万円を6か月猶予できれば、月次キャッシュは240万円改善します。しかし、営業赤字80万円と税社保不足30万円が残るなら、猶予後も毎月110万円ずつ現金は減ります。返済猶予は資金ショートを止める魔法ではなく、改善を実行する時間を作る交渉です。

銀行に見せるべき核心は、「苦しいので待ってほしい」ではなく、「猶予で月240万円の時間を作り、その間に固定費削減40万円、粗利改善60万円、売掛回収早期化を実行し、何月に資金収支を戻す」という数字です。

対象は、初めて条件変更を相談する会社

この記事の対象は、借入返済が重く、返済猶予を初めて銀行へ相談する会社です。口頭では苦境を説明できても、資金繰り表や借入一覧が整っていない状態では、交渉が感情論になります。

税金、社会保険料、仕入、人件費の支払も重なり、どの支払を優先すべきか迷っている会社ほど、返済猶予を受けた後に何を改善するかを月別の数字にする必要があります。

すでに複数回の条件変更を受け、営業資金収支の赤字が止まらず、担保や保証人の問題も表面化している会社は、資料準備だけで足りない場合があります。その場合は、中小企業活性化協議会、弁護士、認定支援機関などを含めた再生・撤退の設計が必要です。

最初に作る資料は13週間資金繰り表

返済猶予の相談では、決算書より先に13週間資金繰り表を作ります。理由は、銀行が最初に知りたいのは「今すぐ資金ショートするのか」「何週目に支払不能になるのか」だからです。

項目入れる内容銀行が見る点
入金予定売掛回収、現金売上、補助金入金、資産売却入金入金時期が確定しているか
事業支払仕入、外注、人件費、家賃、リース、水道光熱費止めると事業が回らない支払は何か
税金・社会保険料通常納付、滞納額、分納額、督促状況銀行返済以外で資金が詰まる要因があるか
借入返済金融機関別の元金、利息、返済日条件変更で何円の月次改善が出るか
最低残高週中最低残高、最低運転資金との差額いつ交渉期限を迎えるか

重要なのは、月末残高だけを見ないことです。給料日、仕入支払日、家賃、税社保、返済日が重なる週に資金が割れる会社は、月末には残高が戻っていても危険です。

6か月予測で、猶予後に戻れるかを見る

13週間表は資金ショート日を見る資料です。一方、6か月予測は返済猶予で作った時間をどう使うかを見る資料です。

猶予の効果だけを抜き出す

まず、元金返済を猶予した場合に月次キャッシュがいくら増えるかを出します。元金返済が月240万円なら、単純には月240万円の改善です。ただし、利息、保証料、計画策定費用、専門家費用、保証協会付き融資の条件変更に伴う費用があれば差し引きます。

ここを曖昧にすると、「返済が止まるから楽になる」と錯覚します。実際には、営業赤字、税社保不足、仕入支払、家賃、人件費が残ります。

改善施策は月別に置く

改善施策は、一覧にするだけでは足りません。いつから、いくら現金が増えるかまで6か月表に置きます。

施策開始月月次キャッシュ改善確認する証拠
固定費削減2か月目40万円解約通知、賃料交渉結果、契約変更日
粗利改善3か月目60万円価格改定通知、原価見直し、赤字取引停止リスト
売掛回収早期化1か月目一時的に100万円回収予定表、取引先合意、入金予定日
在庫処分2か月目一時的に150万円処分価格、販売先、入金予定日

銀行が知りたいのは、努力目標ではありません。返済を猶予した期間に何が変わり、いつ正常返済へ戻れるのかです。

金融機関別借入一覧を作る

返済猶予を相談する前に、金融機関別借入一覧を必ず作ります。総借入額だけでは交渉できません。

  • 借入残高
  • 毎月元金返済額
  • 利息支払額
  • 返済日と最終返済期限
  • 担保の有無
  • 経営者保証の有無
  • 信用保証協会付きかどうか
  • 既に条件変更しているか

複数行取引の場合、一行だけ返済猶予を受けても資金繰りが戻らないことがあります。全体の返済額、担保、保証、保証協会、メイン行の立場を見ないまま相談すると、交渉が部分最適になります。

金融庁要請は承認保証ではない

金融庁は金融機関に対し、事業者の資金繰り相談へ丁寧に対応し、決算状況や条件変更の有無だけで機械的に判断しないよう求めています。既往債務の条件変更や借換えについても、迅速かつ柔軟な対応継続を求めています。

ただし、これは「相談すれば必ず返済猶予が認められる」という意味ではありません。銀行が判断するには、会社側が現状、資金不足の時期、猶予で増えるキャッシュ、改善施策、返済再開の見込みを説明できる必要があります。

中小企業庁の経営改善計画策定支援や中小企業活性化協議会の支援も、計画策定や金融調整を支える制度です。制度名を出すだけではなく、会社の数字を整理して初めて使える選択肢になります。

実務判断: 資料の完成度より、資金が残っているうちに出す

返済猶予相談で危ないのは、完璧な計画書を作ろうとして相談が遅れることです。

最初の面談で必要なのは、豪華な事業計画書ではありません。13週間表で支払不能の週を示し、6か月予測で猶予後の改善効果を示し、借入一覧でどの返済をどう見直すかを示すことです。

資料が荒くても、数字の前提が見えていれば銀行は質問できます。逆に、きれいな文章だけで数字がつながっていない資料は判断材料になりません。

一般論で結論を出せない範囲

返済猶予の可否、猶予期間、保証協会の扱い、担保、経営者保証、税金・社会保険料の分納は、会社ごとに異なります。

本稿だけで「リスケすべき」「追加融資を受けるべき」「返済を続けるべき」とは結論づけられません。結論は、同じ資金繰り表に施策を入れた後の現預金推移で決めます。

無料相談で確認する資料

銀行へ返済猶予を相談する前に、資料の作り方が分からない場合は早めに相談してください。無料電話相談では、直近3期分の決算書、最新の試算表、預金通帳または入出金明細、金融機関別借入一覧、13週間資金繰り表、6か月以上の資金繰り予測、税金・社会保険料の状況があると判断が早くなります。

すべて揃っていなくても相談は可能です。最初に確認するのは、資料の完成度ではなく、あと何週間で資金が割れるかです。

無料電話相談はこちら

参考資料

<この記事の著者・運営者>
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