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リスケは資金が何か月残っているうちに相談すべきか

2026.06.30

リスケ相談の時期と資金繰り改善期間

結論:資金が6か月を切る前に相談する。できれば1年残っている段階で動く

借入返済で現預金が減っている会社がリスケジュールを相談するなら、最低でも資金が6か月残っているうちに金融機関へ相談すべきです。できれば、1年分の改善期間を確保できる段階で動くべきです。

理由は単純です。リスケは返済を止める手続ではなく、会社を立て直す時間を買う交渉だからです。

現預金が1か月から2か月分しか残っていない状態では、資金繰り表を作り、金融機関別の借入を整理し、保証協会や複数行の調整を進め、社内で固定費削減や粗利改善を実行する時間が足りません。仮に一時的な返済猶予を受けられても、改善効果が出る前に再び資金ショートする危険があります。

一つの目安は、条件変更に伴う保証料、利息、計画策定費用などを払った後でも、最低6か月、できれば1年の資金余力が残ることです。これは制度上の承認基準ではありません。実務上、改善策を実行して数字で確認するために必要な時間です。

まず「残っている預金」ではなく「対策に使える月数」を計算する

リスケ相談の時期は、通帳残高だけでは判断できません。給与、仕入代金、家賃、税金、社会保険料など、事業を止めないために残すべき最低運転資金を控除したうえで、対策に使える月数を出します。

計算は次の順番です。

項目確認する内容
現預金残高今日時点で使える普通預金・当座預金・手元現金
最低運転資金給与、仕入、家賃など、止めると事業継続に支障が出る資金
毎月の営業資金収支売上入金から仕入・人件費・固定費等を払った後の増減
毎月の元金返済損益計算書には出ないが、現金を減らす返済額
税金・社会保険料の不足納付できていない額、分納額、今後の発生額

説明用の仮定です。現預金が1,200万円あり、最低運転資金として300万円は残す必要がある会社を考えます。毎月の営業資金赤字が80万円、元金返済が120万円なら、毎月200万円ずつ資金が減ります。

この場合、見た目の預金は1,200万円あります。しかし、対策に使える資金は900万円です。900万円を毎月200万円で割ると、実質的な残存月数は4.5か月です。

この会社は「まだ1,200万円ある会社」ではありません。「4.5か月以内に金融機関交渉と改善策を進めなければならない会社」です。

3か月を切ってからの相談が危険な理由

資金が3か月を切ってからリスケ相談を始めると、金融機関との関係以前に、会社側の準備時間が足りなくなります。

資料を作る時間が足りない

金融機関へ条件変更を相談するには、最低でも金融機関別借入一覧、直近試算表、13週間資金繰り表、6か月から1年の資金繰り予測、改善施策と月別効果、税金・社会保険料の状況が必要です。

これらがないまま「返済を待ってほしい」と言っても、金融機関は判断できません。口頭の苦境説明ではなく、返済を猶予した期間に何を改善し、いつ資金収支が戻るのかを示す必要があります。

改善策の効果が出る前に資金が尽きる

固定費削減、価格改定、不採算取引の撤退、在庫圧縮、売掛金回収の早期化は、決めた翌日にすべて現金化するわけではありません。

家賃や人件費の見直しには交渉と実行時期があります。価格改定は顧客説明が必要です。在庫圧縮も売却先や値引き率を決めなければなりません。売掛金回収の早期化も、相手先の支払サイトを変える交渉が必要です。

リスケで毎月の元金返済を減らしても、営業資金収支が赤字のままなら、資金は減り続けます。だから、リスケで得た時間の中で改善策を実行する必要があります。

選べる選択肢が減る

資金が残っていれば、追加融資、借換え、条件変更、資産売却、固定費削減、事業縮小、事業譲渡などを同じ資金繰り表で比較できます。

資金が尽きかけてからでは、選択肢は「今月の支払いをどうするか」に狭まります。結果として、社長個人の資金投入、条件の悪い資金調達、無理な支払延期など、後で家族の生活や自宅に跳ね返る判断をしやすくなります。

金融庁や信用保証協会の資料から見ても、早期相談が前提になる

金融庁は金融機関に対し、事業者の資金繰り相談へ丁寧かつ親身に対応し、決算状況や条件変更の有無だけで機械的に判断しないよう要請しています。また、既往債務の条件変更や借換え等について、迅速かつ柔軟な対応を継続することも求めています。

ただし、これは「相談すれば必ずリスケが認められる」という意味ではありません。金融機関が判断するためには、会社側が現状と改善計画を説明できる必要があります。

信用保証協会付き融資の場合、条件変更により毎月返済額を軽減できる場合があります。一方で、申し込み窓口は利用中の金融機関であり、条件変更に伴って追加保証料が必要になることがあります。元金返済が減る金額だけを見てはいけません。保証料、利息、計画策定費用を差し引いた後に、何か月分の改善期間が残るかで判断します。

中小企業活性化協議会や経営改善計画策定支援のように、金融支援を伴う経営改善を支える公的な仕組みもあります。自社だけで計画を作れない場合は、早い段階でこうした支援の利用も検討します。

リスケ相談前に社長が決めるべきこと

リスケ相談では、金融機関に見せる資料だけでなく、社長自身の判断基準を先に決める必要があります。

会社へ入れられる個人資金の上限

資金繰りが厳しくなると、社長個人の預金を会社へ入れて延命する判断が起きます。しかし、上限を決めないまま入れ続けると、会社も家族の生活資金も同時に失います。

最初に確認すべきことは、会社を何か月延命するかではありません。最後に守るものは何かです。多くの場合、それは家族の生活費や自宅です。

追加保証や担保提供をするか

追加融資や借換えの局面で、追加保証や担保提供を求められることがあります。ここで「借りられるなら何でも受ける」と判断すると、後の再生や撤退の自由度を失う可能性があります。

中小企業庁は、経営者保証の見直しに関して、法人と経営者の資産分離、法人のみの返済可能性、金融機関への適時適切な財務情報開示などを要素として示しています。金融機関に情報を隠したまま相談を遅らせることは、保証や個人資産保全の議論にも悪影響を与えます。

何か月で営業資金収支を戻すか

リスケの目的は、元金返済を止めることではありません。営業資金収支を黒字に戻すことです。

6か月の猶予を得るなら、6か月後に何が変わっているのかを決めます。粗利率、固定費、在庫、売掛金回収、赤字取引、不要資産の処分について、月別に効果を置きます。

ここが曖昧な会社は、リスケ後も資金が減り続けます。返済を止めても赤字が止まらない会社は、再度の条件変更や廃業判断に追い込まれます。

相談時期の目安

残存月数状態取るべき対応
12か月以上まだ選択肢がある借換え、追加融資、条件変更、固定費削減、資産売却を同じ資金繰り表で比較する
6か月から12か月相談開始の下限ライン金融機関へ事前相談し、13週間と6か月以上の資金繰り表、改善計画を作る
3か月から6か月危険水準条件変更相談を急ぎ、税社保、仕入、人件費、固定費の支払優先順位を同時に決める
3か月未満選択肢が急減リスケだけでなく、事業縮小、資産売却、撤退、家族生活防衛を含めて判断する

この表は一般的な目安です。売掛金の回収サイトが長い会社、在庫が重い会社、税金や社会保険料の滞納がある会社、複数行取引の会社は、もっと早く動く必要があります。

無料相談で確認する資料

借入返済で現預金が減っている場合、相談が遅れるほど打てる手は減ります。

無料電話相談では、次の資料があると状況を早く判断できます。

  • 直近2期分の決算書
  • 最新の試算表
  • 金融機関別の借入残高、金利、毎月返済額、担保・保証の有無
  • 直近6か月の預金通帳
  • 13週間資金繰り表、または入出金予定表
  • 税金・社会保険料の納付状況、滞納・分納状況
  • 固定費一覧、在庫・売掛金・買掛金の一覧

すべて揃っていなくても相談は可能です。最初に確認するのは、現預金が何円あるかではなく、対策に使える月数が何か月残っているかです。

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参考資料

<この記事の著者・運営者>
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